福島第一原子力発電所の大事故が発生してからのマスコミの報道内容はヒドいものだ。
偏った情報を一方的に報道する。
異なった意見は封印。
今一番気になっているのは、放射線を浴びることによる影響についての報道。
アナウンサーも、報道関係が連れてくる大学の先生も一様に、
「CTスキャン一回で受ける量より少ないので、健康への影響は(ほとんど)ありません。心配する必要はない」
ということを言っている。
各局で何度も繰り返し同じことを報道しているので、TVを見ている一般の人はそれで納得している人も多くいると思う。
でも、よく考えると上記の説明(比較)はほとんど意味がないことに気づくはずだ。
理由は、
1.CTスキャンは外部被曝である。福島市とか水戸市とかあきらかに放射線量が上がっている地区の原因は放射能汚染物質の影響であって、ここでは外部被曝の後に内部被曝が起こる可能性が高い。
内部被曝が発生すれば外部被曝のCTスキャンや航空機利用による宇宙線被曝と同等に考えるのはおかしい
というか、相当に危険。
2.胸部CTスキャンは胸部に限った被曝である。もっと被曝量の少ない胸部X線検査も胸部に限ったものである。放射線の影響が強い生殖器官や造血幹細胞への被曝が無いように厳重に管理されている。
一方で、今回の原発事故による被曝は全身被曝である。
生殖器官であれ、造血幹細胞であれ全身で放射線を受け止めることになる。
さらに内部被曝を伴うので非常にたちが悪い。
3.被曝の多いCTスキャンなんて検査を受ける人はごく希。普通は胸部X線検査。胸部CTスキャンをかける場合は、ガンの疑いが相当に高くて、CTスキャンによるリスクと比較しても得られる結果(効果)が高いと考えられる場合にされる。つまりそれにより選られる理由があって、CTスキャンしているのだ。
これを一般的な生活事象であるように報道するのは非常におかしい。
もっと被曝量の少ない胸部X線においても、妊娠している可能性のある人は検査を避けることがあるのは皆さんも知っているとおり。男性であっても、会社で行われる胸部X線集団検診は”任意”項目になっているはず。つまり、浴びて良い放射線は存在しないので、それにより得られる効果との天秤で選択しているに過ぎない。量が少なくても放射線を浴びれば浴びるほど発がんリスクが高まるのはちょっと知識のある人なら誰でも知っている。
このリスク確率が上がると言うことを全く無視した表現が現在の報道。
急性障害が出るかどうかの確定的事象にたいする見解でしかない。
仮に10万人に1人の発がんリスクがあがるだけだとしても、その1人に入りたくないというのは普通の考え。得る物が何もない放射線被曝は、単に発がんリスクを高めるだけ。
リスク確率が上がるという”確率的事象”について説明するマスコミがほとんど無いというのは、報道機関の意味をなしていない。
4.そもそも報道では”単位”を明確に意識した表現になっていない。
東京ーニューヨークを飛行機で往復、胸のX線とかと比較するのに、1時間当たりの被曝量との大小で議論している。
そこに住んでいるんだから1時間当たりで比較するのは明らかにおかしい。
1日、1ヶ月、1年の蓄積量で比較すべきだ。
5.屋内にとどまっていれば観測値が150uS/hでも、その1/10とか1/100になるので影響はないというのも生活の実態を反映していないと思う。
核シェルターとかに済んでいるなら別だが、日本の家屋はそれほど密閉度は高くない。
それに、生活している以上は、食料品を買いに行ったりしてどうしても外出が必要。
短期間の放射能汚染であれば確かにそれほど問題にならないかもしれないが、1週間、1ヶ月と定常的に放射能汚染が続いた場合は、放射能対策の専門家でもない民間人はどうしても家屋内部に汚染物質を持ち込んでしまう。しかも、期間が長くなれば長くなるほどその持ち込みによる蓄積量が増える。
つまり、民間人に、放射能汚染地域に1週間以上住んで、建物内に放射性物質をもちこむなというのは無理だと考えるのが自然。
各部屋にガイガーカウンターでも設置しないと内部汚染は管理できない。
いったん内部汚染されてしまえば、呼吸等で内部被曝に繋がるのは言うまでもない。
6.福島市では水道水からヨウ素が検出されているらしいが、報道では規格内なので問題ないという。
規格内だったら健康に影響がないという言えるのか?
普段は全く検知されないものなのに。
そもそも、規格はヨウ素全体の濃度に対するものであって、”放射性ヨウ素”を想定したものではないだろう。
水道水からヨウ素が出ている地域では、少なくとも乳幼児・子供は避難すべきだろう。
いまの政府が発表している放射線量を見ている限り、130km前後はなれている茨城県水戸市でも1uS/hを越えることがあるようだ。
平常時が、0.03uS/h前後なので10倍以上。
全身被曝&内部被曝のリスクと、さらなる悪化の可能性も考えると、もし自分に家族がいて150km圏内にいれば嫁&子供は、関西等の十分に離れたところに避難させるだろう。
大人で既に長く生きて仕事がある男の人は、100km圏前後がギリギリって感じ。
水道水にヨウ素が含まれている場所では住めない。
米国が80km圏内を待避にしたのはそれなりに妥当か。
150uS/hを越える放射線量が検出されている30km圏内を屋内待避にしている日本政府はちょっとどうかしているだろう。
政府の対策本部を35kmぐらいに設置すればどうだろうか?
そしたら、被曝を恐れてタンクローリーやトラックが30km圏内にはいらないというのも解消されるんじゃないかな。
パフォーマンス大好きな民主党や蓮舫さんにはぴったりじゃないか!
30kmを越えれば安全だと言うなら、まず政府の対策本部を35km付近に設置すべし。
そして、マスコミも報道拠点をそこに設置して、報道の責任を身をもって示すべし。