【北マリアナの謎のスズメダイ】
サイパンとテニアンにちょっと変わったスズメダイがいることに気づいて、先月にそのスズメダイの同定をするためにちゃんとした写真を撮りに行った。
深い上に被写体が小さくて結構動くので、なかなか良い写真撮れなかったのだが、サイパンとテニアンの2カ所で3個体の写真を撮ることが出来た。
といっても、写真を撮ったのが3個体というだけで、居る場所に行けばいっぱい生息している。
で、こいつは何か?
デルタスズメダイにしては、背ビレ後端と尻ビレ後端の形が違う。
ブルーアクシルクロミス(Chromis caudalis)に体型は似ているけど、そもそもブルーアクシルの名前の由来となっている胸鰭の付け根の青がない。それと、ブルーアクシルクロミスの体色はもっと褐色だし、サイズも大きい。
形が一番似ていて、サイズ的にも、生息している深さのデータ的にも合うのが、フカミスズメダイ(Chromis leucura)だと俺っちは思った。
背びれや尻ビレの後端が黒く縁取られているのが特徴だが、これには当てはまりそう。
でも、フカミスズメダイの一番の特徴として、腹びれが黄色いことがあげられるのだが、サイパンのこいつは腹びれはハッキリとした黄色じゃない。
微妙に黄色っぽい感じがしないでもないけど。
あと、胸鰭の付け根も黄色いのが一般的だけど、それもない。
目にハッキリとしたブルーのリングが見えるけど、それも図鑑のフカミスズメダイとちょっと感じが違う。
図鑑に載っているスズメダイの中ではフカミスズメダイが一番近いけど、その特徴の腹びれの黄色がないのでフカミスズメダイと言っていいものか悶々としていた。
そこで、わからないものは専門家に聞いてみよう!
と昨日思い立った。
で、どこに聞こうかと考えて、まずワイキキアクエリウムが思い浮かんだ。
ワイキキアクエリウムのHPに行ってみたけど、残念ながらというか予想通りというか、問い合わせるようなメールアドレスは記載されていない。
一昔前ならともかく、今の時代はメールアドレス記載していると色んなメールが来て仕事にならないから、メールアドレスを載せてない方が普通だと思う。
ワイキキアクエリウムに問い合わせるという案が消えて、次に浮かんだの恐れ多くもランドール博士の名前。 (^^ゞ
ランドール博士と言えば、インド洋から太平洋地域のリーフフィッシュ研究の第一人者。
リーフフィッシュ好きな人なら誰でもその名前を聞いたことがあるような人。
早速、ランドール博士のメールアドレスを調べる。
現在居住している地域を知っていたので、名前と居住エリアで検索かけたら、メールアドレス判ったちゃった。 (^_^)v
そして、見知らぬ一般人からの問い合わせメールにいちいち返事くれないだろうと思いつつ、ダメモトで昨晩問い合わせメールを出してみた。
メールには、サイパンで撮影した3個体の写真を添付して、腹びれが黄色くなくて、目にハッキリとした青いリングが見えるけど、これはフカミスズメダイでしょうか?
水深××mより深いところで見かけて、水深○×mぐらいまで行けばいっぱい見かけるというスズメダイです。
という感じで書いた。
もちろん、自己紹介と挨拶も書いたよ。
すると、な・な・なんと・・・・
朝起きたら、あのランドール博士から早速返事が返ってきてた。
ランドール博士のメールには、
「あなたが送ってくれた写真のスズメダイは、Chromis Leucura(フカミスズメダイ)だと同定します。でも、他の色んな地域でみられるフカミスズメダイと色においていくつか違いがあることに注意する必要があるでしょう。その色の違いというのは、ハッキリとした黄色の欠如と、青い目。DNAの検査をしたら、マリアナのフカミスズメダイは少なくとも亜種であることが示されるでしょう」
という感じのことが書かれていた。
まあ、俺っちの英語翻訳なので、微妙なニュアンスは間違っているかも (;^_^A アセアセ…
ということで、サイパンとテニアンの深場にいるあのスズメダイは、フカミスズメダイそのものか、あるいはフカミスズメダイの亜種のどちらかで、フカミスズメダイということで間違いなさそうだ。
あ~、スッキリした。 ランドール博士ありがとう!
ヒレの黄色い個体は、俺っちはサイパン&テニアンでまだ見つけてないけど、サイパンで腹びれの黄色いフカミスズメダイ見つけたら誰でも良いけど是非写真撮って俺っちに送って欲しいな。
でも、あの小さいスズメダイの腹びれを限られた時間の中で写真に撮るのはかなり難しいんだなぁ。
ランドール博士はフカミスズメダイの写真も送ってきてくれた。
それがこれです。
胸鰭の付け根と、腹びれが黄色いでしょ。
これが典型的なフカミスズメダイなのだ。
ランドール博士からメールの返事をもらって、今日は幸せな一日でした♪
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